経済プレミアインタビュー

野口悠紀雄氏が語る「試験にでる英単語」誕生秘話

川口雅浩・経済プレミア編集部
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野口悠紀雄・一橋大名誉教授=東京都新宿区で2019年12月18日、宮本明登撮影
野口悠紀雄・一橋大名誉教授=東京都新宿区で2019年12月18日、宮本明登撮影

 「でる単」や「しけ単」の愛称で親しまれた「試験にでる英単語」(注)。大学受験のバイブルだったこの本を懐かしく思い出す人は多いだろう。同書は1967年、東京都立日比谷高校の英語教師だった森一郎氏が出版した。同高出身の野口悠紀雄・一橋大名誉教授は大学生のころ森氏から、でる単作成の「実験台」にされたという。どういうことなのか。でる単誕生秘話と英語学習法について、野口氏に聞いた。【聞き手は経済プレミア編集長・川口雅浩】

野口悠紀雄氏に聞く英語学習法(1)

 ――でる単作者の森さんと野口さんの関係から教えてください。

 ◆野口悠紀雄さん 森先生は私が1年生の時に日比谷高に赴任され、2年生の時は私の担任でした。担任だったこともあり、先生のお宅にお邪魔したり、授業以外にも指導いただきました。いろいろな話をよく聞いてくださり、生徒に人気のある先生でした。

 ――当時、森さんはどんな英語の授業をしていたのですか。

 ◆日比谷高では、元々あまり先生が授業をしないのです。授業では生徒が勝手に発表し、先生が聞いていました。ただ英語と数学は、ある程度先生がコントロールしていたと思います。

 森先生は特別変わった授業をやっていたわけではありません。2年生の時だったかな、副読本にジョージ・オーウェルの「アニマル・ファーム」(動物農場)を使いました。その時の先生の正しい発音を今も覚えています。私の同級生の印象にも残っていると思います。

喫茶店に呼び出され

 ――当時の日比谷高は東大合格者数が全国一でした。「試験にでる英単語」のように受験の頻出単語を学習していたのではないですか。

 ◆そんなことをしたら、軽蔑されて仲間はずれになってしまいます。当時の日比谷高は「受験なんかクソくらえ」という雰囲気だったのです。生徒は実際には勉強しているのですが、受験勉強よりも、人生について語り合うことの方が重要だと思っていました。

 ――卒業後、野口さんが森さんの実験台になったとは、どういうことですか。

 ◆私が大学生の時(1960年前後)、森先生から呼び出されて、赤…

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川口雅浩

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。