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“ガリバー台湾TSMC”驚異の世界シェアと利益率

近藤伸二・ジャーナリスト
TSMCの200ミリウエハー工場(同社のホームページより)
TSMCの200ミリウエハー工場(同社のホームページより)

台湾半導体の日本進出(2)

 日本政府の“三顧の礼”を受けて熊本県への工場建設が決まった台湾積体電路製造(TSMC)の強みは、技術力の高さと生産規模の大きさにある。TSMCは回路線幅が5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端品の量産を2020年春、世界で初めて実現し、米アップルの最新版スマートフォン「iPhone13」などに搭載されている。

 半導体は回路線幅が小さいほど性能が向上するが、他に5ナノの量産ができるのは韓国サムスン電子だけで、その先の3ナノや2ナノ品の研究・開発でもTSMCがリードしている。

 生産規模も桁違いだ。「ギガ・ファブ」と呼ばれる月産10万枚以上の300ミリウエハー工場四つを含む9工場が台湾で稼働し、米国や中国にも生産拠点がある。20年12月期の売上高は455億ドル(約5兆2000億円)。日立製作所、三菱電機、NECの半導体事業を統合してできたルネサスエレクトロニクスの売上高は7157億円(20年12月期)で、足元にも及ばない。

世界半導体メーカーで“3本の指”

 20年の半導体メーカーの売上高世界ランキングでは、TSMCはファウンドリーながら米インテル、サムスン電子に次ぐ3位の座を保っている(ICインサイツ調べ)。ファウンドリー業界でのシェアは54%を占め、正に独壇場だ(台湾トレンドフォース調べ)。

 さらに驚…

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ジャーナリスト

 1956年神戸市生まれ。79年毎日新聞社入社。香港支局長、台北支局長、大阪経済部長、論説副委員長などを歴任。2014年追手門学院大学教授。22年3月に退職し、その後、ジャーナリストとして活動。著書に「彭明敏 蔣介石と闘った台湾人」「アジア実力派企業のカリスマ創業者」など。