
経済学者で一橋大名誉教授の野口悠紀雄氏に「試験に出る英単語」(森一郎、青春出版社)の思い出などを聞くインタビューの最終回は、ビジネスマン向け実用英語の学習法などを聞いた。野口氏が実践してきた「効果的な勉強法」とは何か。【聞き手は経済プレミア編集長・川口雅浩】
野口悠紀雄氏に聞く英語学習法(3)
――でる単に載るような高級な単語は知っていても、米国人の口語は知らなかった体験を基に、野口さんは「すべての英語がわかる必要はない」とおっしゃいました。これはどういうことでしょうか。
◆野口悠紀雄さん 高級な学問の英語から日常生活のスラング(俗語)まで、あらゆる英語を完璧にマスターすることは不可能です。それよりも自分の専門分野の仕事を英語でできるようにすることが大事です。
私の場合は米国の大学の講義を聴いて、自分で発表ができ、討議ができる。この三つが重要です。これについては問題なかったのですが、米国の留学から帰った後、次の段階の英語の勉強を始めました。学者として、米国で講演する必要が生じたからです。
――どんな勉強をしたのですか。
◆当時、音源として唯一利用可能だったFEN(極東放送網、在日米軍向けの英語放送)のニュース解説を録音して、通勤電車の中で聴きました。ちょうどレーガン政権の頃で、税制改革などの解説をたくさん録音しました。
今ならインターネットでいくらでも音源にアクセスできます。コロナ禍で在宅勤務なら、散歩の時間に聴けばよいと思います。
話す練習は必要ない
――まず、正確に聞き取る力が重要で、自分の専門分野の話題がよいということですね。
◆外国語は聴くことが重要です。話す練習は必要ありません。完全に聴ければ自動的に話せるようになります。しかし…
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川口雅浩
経済プレミア編集部
1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。