
この連載の前回の記事「生涯所得で数億円の差 大学は戦略的に選ぶ時代に」に、大きな反響があった。米国の4年制大学の高騰する学費に対して、リターンがどれくらいあるのか合理的、現実的に考える人が増えているという話だ。
どこの大学を卒業したかではなく、何を専攻したかが重要になり、生涯年収と学生ローンなどの支払いを加味して投資対効果を考えた上で今後の選択をすることや、ダブルメジャー(複数専攻)の重要性も明確にした。
半年でローン完済も
今回は、そんな揺れ動くアメリカの高等教育市場で、高い生涯年収によるリターンを出すといわれている教育について紹介したい。MBA(経営学修士)である。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事によると、600近くのMBAプログラムにおいて学生ローンを借りた学生たちのデータを解析したところ、98%のプログラムで、卒業後2年の卒業生たちの所得が負債を上回っていることが分かった。
MBAの学費は桁違いに高く、多くの学生がローンや奨学金で支払う。学費が高くても、その後に得られる給料が高いことが予想されるため、早い場合は数年で学生ローンの返済ができるということだ。
例えば、2018年にコロンビア大ビジネススクールに入学し、2年間のMBAで学費として合計16万ドル(約1800万円)を支払ったある女性は、…
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石角友愛
パロアルトインサイトCEO/ AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得後、米グーグル本社でシニアストラテジストとして、多数のAIプロジェクトを手がける。グーグル退社後、人事系スタートアップや流通系AIベンチャーを経て、2017年に日本企業にAI開発を行うパロアルトインサイトを起業。著書に「いまこそ知りたいDX戦略」「いまこそ知りたいAIビジネス」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。パロアルトインサイトHP