鉄道カメラマン見聞録

赤字ローカル線再生の手本?千葉「いすみ鉄道」の秘密

金盛正樹・鉄道カメラマン
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観光急行として走る国鉄形ディーゼルカー・キハ52(手前)とキハ28。国鉄時代の急行列車を模したヘッドマークを掲げている=千葉県のいすみ鉄道・総元-西畑間で2013年12月14日、金盛正樹撮影
観光急行として走る国鉄形ディーゼルカー・キハ52(手前)とキハ28。国鉄時代の急行列車を模したヘッドマークを掲げている=千葉県のいすみ鉄道・総元-西畑間で2013年12月14日、金盛正樹撮影

 今回は千葉県にある「いすみ鉄道」を紹介します。いすみ鉄道は外房の大原駅と房総半島のほぼ真ん中にある上総中野駅を結ぶ第三セクターのローカル鉄道で、全線が単線非電化です。そんないすみ鉄道の魅力とは何でしょうか。

 路線距離は26.8キロで、大原駅ではJR外房線、上総中野駅では小湊鉄道と接続しています。1988年3月、JR東日本の赤字路線だった当時の木原線を引き継いで誕生しました。

 開業後も長年にわたって赤字が続き、2008年ごろには廃止の声も上がっていましたが、09年に一般公募で、鉄道ファンの実業家・鳥塚亮氏(現・えちごトキめき鉄道社長)が社長に就任し、大きな転機が訪れました。

「何もない」を楽しむ旅

 それまで、いすみ鉄道は「見どころが何もない」と悲観的なイメージがありました。しかし、アイデアマンの鳥塚氏はそれを逆手に取り、都心から1時間少々のアクセスで「何もない」を楽しむ旅を都市生活者にPRしたのです。

 またアニメのムーミンを路線キャラクターに採用し、自然豊かな沿線風景をムーミン谷に見立ててムーミン列車(19年3月に運行終了)を走らせたり、JR西日本で余剰となっていた国鉄時代のディーゼルカーを2両譲り受け、休日や週末を中心に「観光急行」として走らせ、昭和的な懐かしい旅を提供したりしました。

 そのうちの1両は座席にテーブルを設け、地元の食材を使ったイタリア料理等を提供するレストラン列車として今も運行しています…

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金盛正樹

鉄道カメラマン

 1967年神戸市生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業後、商業写真プロダクション「ササキスタジオ」に7年間在籍。1996年からフリー。鉄道専門誌や一般誌に写真を発表している。「鉄道と名のつくものは、実物から模型、おもちゃまで何でも撮影する」がモットー。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。鉄道と同じくらいクルマも好きで、愛車はスズキジムニー。機械式カメラ、日本史、日本刀など趣味多数。