経済プレミアインタビュー

「行列できる経営相談所」中小企業を褒めまくる理由

田中学
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岡崎ビジネスサポートセンターのセンター長を務めてきた秋元祥治チーフコーディネーター=岡崎ビジネスサポートセンター提供
岡崎ビジネスサポートセンターのセンター長を務めてきた秋元祥治チーフコーディネーター=岡崎ビジネスサポートセンター提供

 愛知県岡崎市に「行けば売り上げがアップする」と行列のできる中小企業の無料相談所がある。岡崎市が運営する「岡崎ビジネスサポートセンター」、通称「オカビズ」だ。2013年にスタートし、これまでに約3000社、約2万件の相談を受けてきた。オカビズの設立にかかわり、センター長を務めてきた秋元祥治さん(42)に、中小企業の売り上げをアップする秘訣(ひけつ)を聞いた。3回にわけてお伝えする。【毎日新聞経済プレミア・田中学】

オカビズ・秋元祥治さんに聞く(1)

 <秋元さんは早稲田大学在学中の01年、出身地の岐阜市で地域活性化に取り組むNPO法人「G-net」を創業した。地元の中小企業と学生をマッチングし、長期インターンシップを通じて新規事業を生み出す支援を行い、そのビジネスモデルが09年に経済産業省の「ソーシャルビジネス55選」に選ばれた。13年にオカビズのセンター長に就任。16年に利用した企業の7割が「売り上げが上がった」「上がる見込み」と回答した>

末端下請け町工場が3カ月で新規受注約2000万円

 ――売り上げがアップした中小企業の象徴的な事例を教えてください。

 ◆秋元祥治さん 5年ほど前に相談を受けた、板金部品を試作する自動車産業の下請け町工場のケースです。従業員十数人で、一般消費者向けの新商品を作ったから相談に乗ってくれとお越しになりました。

 話を聞くと、事業は100%自動車関連で「自分たちは末端下請け」だといいます。来る仕事は納期が短く、「3日で」というのもよくある。しかも、他社がやりたがらないような加工が難しい面倒な仕事が多く、利益もほとんどない状況でした。

 ――その状況を打破するための新商品だったのですね。

 ◆そうなのですが、むしろ注目したのは、難しい仕事の要求に応え続けていたこの町工場の技術力です。自動車業界の仕事は高い精度が求められます。聞けば、設計、加工から仕上げまで一貫して短納期で行っていました。話を聞いて褒めまくりました。

 ――褒めまくった?

 ◆相手は「えー!」と驚いていました。短納期などに苦労していましたが、それこそが会社の強みだからです。これを生かさない手はありません。

 自動車関連の仕事をする会社は、自動車関連だけ…

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田中学

1979年東京都生まれ。中央大文卒。出版社勤務を経て、2014年11月、毎日新聞デジタルメディア局に配属。