ニッポン金融ウラの裏

米金融引き締めで「新興国ファンド」膨らむ不安

浪川攻・金融ジャーナリスト
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米連邦準備制度理事会(FRB)本部=米ワシントンで2016年2月、清水憲司撮影
米連邦準備制度理事会(FRB)本部=米ワシントンで2016年2月、清水憲司撮影

 グローバルな金融政策の潮目が変わってきた。米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ予防の姿勢を鮮明化させ、金融政策のかじ取りを引き締め方向に切ることを明らかにした。英国でも中央銀行のイングランド銀行が利上げに踏み切った。わが国にはどんな影響が及ぶ可能性があるのか。

 米国では量的緩和を来年3月までに終了させ、続いて利上げに踏み切る方針をFRBが12月15日、公開市場委員会(FOMC)で決定した。高騰する物価動向を踏まえたものであり、従来の方針を前倒しし、かつ鮮明化させた。英国でも物価の高騰が大きな問題となっており、イングランド銀行がその対応に動いた。

 こうしたなかで、わが国では日銀・政府が共有化している「消費者物価が安定的に前年比2%上昇で推移する」という物価目標は一向に達成できず、量的緩和、マイナス金利政策を維持している。マイナス金利で収益が上がらない大手銀行の経営陣は「出口はまったく見えない」とため息をついている。

トルコ通貨の急落

 一方、懸念が高まってきたのが証券市場である。それも、個人投資家による投資だ。近年、国内の超低金利や先進国の低金利を背景にして、新興国の高金利債券やそれを組み入れた投信である「新興国ファンド」への投資が個人投資家の間で広がっている。

 今回の米欧の…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。