経済プレミア・トピックス

コロナ財政支援1900兆円で膨らむ“インフレ疑心暗鬼”

平野純一・経済プレミア編集部
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米議会下院金融サービス委員会で証言するパウエルFRB議長(左)=AP
米議会下院金融サービス委員会で証言するパウエルFRB議長(左)=AP

 国際通貨基金(IMF)の調べによる、新型コロナウイルス対応の世界の財政支援の総額は、これまでに16.9兆ドル(約1900兆円)に達した(2020年初めから21年9月27日まで)。新型コロナの出現で、企業や家計の経済活動が一瞬にして滞り、失われた需要を埋めるため、世界各国は未曽有の財政支援を行ってきた。

 そのなかで、先進国の政府債務残高の国内総生産(GDP)比は21年に121%となる見通しで、第二次大戦直後の1946年の124%と同レベルに達している。100年に1度の危機と呼ばれるコロナ禍は、大戦直後と同じような過剰な財政依存の状況を世界に作り出している。

米国の通貨供給量は急増

 米国は11月のインフレ率が前年同月比で6.8%の伸びと39年ぶりの高水準だ。大きな財政支出に加えて、コロナ禍からの需要回復と、物流の滞りや人手不足などによる「供給制約」がインフレを加速させている。単純比較はできないかもしれないが、大規模な生産設備の破壊がなかった米国でも第二次大戦後は需要の急拡大で20%程度のインフレになった。

 三井住友DSアセットマネジメントの吉川雅幸・チーフマクロストラテジストの分析によると、現在の米国の財政と金融の状況が大戦後と似ているのは、公的債務の増大と通貨の過剰供給が同時に起きている点だ。

 米国の連邦政府債務残高のGDP比は130%程度になり、第二次大戦直後の最悪期の119%を超えている。米国の通貨供給量(マネーストック=M2)は過去10年間のトレンド線から4.6兆ドル(約520兆円)も上回り、この額は米国のGDPの20%超に相当する。

 この余剰資金は、消費は特に耐久消費…

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平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。