産業医の現場カルテ

「うつで休職2度目」30代男性が受けたリワークの効果

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は1年ほど前、当時休職中だった根本さん(仮名、30代男性)から相談を受けました。根本さんはシステムエンジニアで転職組です。仕事上のミスをきっかけに不眠や気分が落ち込む状態になりました。受診したところ「うつ病」と診断され、2カ月ほど前から休職をしていました。

早く復職したいが……

 根本さんは転職する前の会社でも1度、うつ状態で休職をしたことがありました。早く働きたいと思っていますが、焦って復職をして、また休むことにならないかと不安です。

 前回休職したときは、1カ月弱で家事ができるようになり、その段階で復職しました。復職当初は苦労しましたが、何とか仕事を続けることができ、今の会社への転職も果たしました。ただ今回の2度目の休職は、前回よりも症状の程度が重くなっていました。

 今回の休職当初は動くのがおっくうで、横になっている時間が多くありました。1カ月半が過ぎて徐々に生活リズムが改善し始め、家事も少しできるようになっていました。一方で、主治医からはリワークのプログラムを受けるように勧められていて、それについて産業医にも意見を聞きたいということでした。

リワークプログラムとは

 リワークは「リターン・トゥ・ワーク」の略で、復職支援のプログラムです。うつ病などの気分障害で休職している人が、医療機関や公営の地域障害者職業センターで行う心理的なリハビリです。仕事の模擬作業や認知行…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。