クルマ最新事情

一番乗りはどこ? EVの切り札「全固体電池」実現するか

川口雅浩・経済プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
日産自動車が公開した全固体電池を搭載予定のEV試作車=同社提供
日産自動車が公開した全固体電池を搭載予定のEV試作車=同社提供

 2022年は電気自動車(EV)の次世代電池とされる「全固体電池」(注)の開発競争が進みそうだ。昨年11~12月は世界の自動車メーカーから全固体電池をめぐる発表が相次いだ。

 日産自動車は今後5年間で約2兆円を電動化に投資する「長期ビジョン」を21年11月29日に発表した。注目すべきはトヨタ自動車や欧米の主要メーカーと並び、日産も全固体電池の具体的な投入時期を表明したことだ。

 「日産は現在、自社内で全固体電池の開発に取り組んでおり、28年の市場投入を目指し、24年には横浜工場内にパイロット生産ラインの導入を計画している」

 長期ビジョンの発表記者会見で、日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は全固体電池の実用化に自信を見せた。

 全固体電池は現行のリチウムイオン電池の約2倍の容量を蓄えることができ、EVの弱点である航続距離の短さ、充電時間の長さ、電池の経年劣化を解消する次世代電池と期待される。このため大手メーカーがEV普及の切り札として実用化を急いでいる。

「充電時間を3分の1に短縮」

 内田社長は「エネルギー密度は現在のリチウムイオン電池の2倍を目標にしている。小型化、薄型化が見込まれ、大型車両のEV化が可能となる。充電時間は現在のリチウムイオン電池に比べ3分の1に短縮することが目標だ」と、具体的な数値目標を挙げた。

 日産はコスト削減にも取り組む。「EVの車両コストをガソリン車と同等レベルまで引き下げ、EVの本格的な普及につなげる」という。

海外メーカーも戦略を発表

 日産が長期ビジョンを発表した翌30日、独メルセデス・ベンツと欧米ステランティス(フィアット・クライスラー・オートモービルズとフランス大手PSA=旧プジョー・シトロエン・グループが21年1月に経営統合)は、それぞれ米国の新興電池メーカー「ファクトリアル・エナジー」に出資し、全固体電池を共同開発すると発表した。

 ファクトリアル社は…

この記事は有料記事です。

残り1127文字(全文1932文字)

川口雅浩

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。