メディア万華鏡

総選挙予測大ハズレ!? 「世論調査報道」の様変わり

山田道子・元サンデー毎日編集長
  • 文字
  • 印刷
衆院選の投開票日にインタビューに答える岸田文雄首相=東京都千代田区の自民党本部で2021年10月31日、竹内幹撮影
衆院選の投開票日にインタビューに答える岸田文雄首相=東京都千代田区の自民党本部で2021年10月31日、竹内幹撮影

 岸田文雄首相率いる自民党が事前予想に反し、圧勝した昨秋の総選挙。その反響は年を越しても収まらず、“週刊誌沙汰”になってしまった。週刊新潮1月13日迎春増大号の「総選挙予測大ハズレで『共同通信』社長に『異例処分』の内容」という記事。

 昨年10月31日の総選挙の際、共同通信社は投票終了後の午後8時に、加盟社に向けて“自民は大幅議席減”と速報。開票が進んで自民党が議席を伸ばしたにもかかわらず軌道修正が遅れたうえ、システムの障害によるトラブルまで発生し、加盟社に大ダメージを与えた。結果、昨年12月、社長や幹部3人が役員報酬返上などの“処分”を受けたというのだ。

 自民党が絶対安定多数(261議席)を獲得した総選挙の出口調査を外したのは共同通信だけではない。NHKは投票終了後の午後8時に、「自民党212~253」「立憲民主党99~141」との予測を放送した。

 さらに深刻なのは投票日前の議席予測の情勢調査。「自民党の過半数割れ」「立憲民主党の議席増」の傾向を予測したメディアが多かったのだ。読売新聞は終盤情勢で「自民の単独過半数維持は微妙、立民が議席増」と報じた。

 議席数予測の世論調査報道は、投票行動を誘導するアナウンスメント効果があると、かねて批判されているが、今回は予測が外れたため騒ぎになった。

世論調査は「戦国時代」に

 テレビ報道記者の金平茂紀さんは昨年の「極私的5重大ニュース」をあげる中で「カネと労力を費やした獲得議席予測の取材が軒並み大外れになった事実。いまだになぜ間違ったのかについての総括はなされていない」と批判した(毎日新聞2021年12月11日夕刊)。

 “総括”には至らないが、埼玉大学社会調査研究センターが昨年12月10日にオンライン開催した「第11回世論・選挙調査研究大会」では、昨年の総選挙の情勢調査を「岐路」と位置づけた。サブタイトルは「選挙予測の戦国時代」と物騒だった。

この記事は有料記事です。

残り1332文字(全文2133文字)

山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。