石角友愛のシリコンバレー通信

インド系移民も「大退職時代」へ 米国から母国へ帰る訳

石角友愛・パロアルトインサイトCEO/ AIビジネスデザイナー
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米国では「大退職時代」を迎えたと言われている
米国では「大退職時代」を迎えたと言われている

 2021年、米国では「大退職時代(Great Resignation)」という言葉が注目された。多くの米国人労働者が自らの意思で職場を去る現象で、背景には新型コロナウイルス感染拡大による価値観や働き方の変化があると指摘されている。21年9月には退職者が過去最多の440万人を記録した。

 そして22年、シリコンバレーでは、米国人だけではなく移民も大退職時代を迎える可能性があるという。ニュースサイトの「ザ・インフォメーション」に先日、掲載された記事によると、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック<現メタ>、アマゾン)に代表されるシリコンバレーやシアトルの大手IT企業から、インド人移民が母国インドに帰っているというのだ。

 この背景としては、移民ビザで米国で就労し続けることの難しさ、パンデミック(感染症の世界的大流行)により働き方や人生観が変わった移民が多くいること、そしてインドのスタートアップ業界が急成長していることなどが挙げられる。

優秀で裕福なインド系移民

 コロンビア大の20年の論文によると、米国には現在、約300万人のインド系移民が住んでおり、全人口の1%ほどに当たるという。インド系移民の多くが米国内で群を抜いて最高の教育を受けた人口統計グループに位置し、インド生まれの米国移民は一般の米国人と比べて大学の学位を持つ人が3倍も多い。経済的成功にも特筆すべきものがあり、インド系移民の世帯は所得水準が高く、一般的な米国人の2倍以上を稼いでいるという。

 「世界で最も貧しい国の一つであるインドの人々は、どのようにして米国で最も裕福な人々になったのか」。コロンビア大で…

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石角友愛

パロアルトインサイトCEO/ AIビジネスデザイナー

 2010年にハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得後、米グーグル本社でシニアストラテジストとして、多数のAIプロジェクトを手がける。グーグル退社後、人事系スタートアップや流通系AIベンチャーを経て、2017年に日本企業にAI開発を行うパロアルトインサイトを起業。著書に「いまこそ知りたいDX戦略」「いまこそ知りたいAIビジネス」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。パロアルトインサイトHP