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「引退に迷いなし」? 星野リゾート代表の引き際戦略

星野佳路・星野リゾート代表
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星野リゾートの星野佳路代表=東京都千代田区の「星のや東京」で、手塚耕一郎撮影
星野リゾートの星野佳路代表=東京都千代田区の「星のや東京」で、手塚耕一郎撮影

 星野佳路代表は、今後も星野リゾートをファミリービジネス(家業)の形で経営していくべきだと考えています。しかし、星野さんが長野・軽井沢の温泉旅館を引き継いだ30年前に比べ、会社の規模は何十倍にもなり、代替わりの難しさは一段と大きくなっています。実績を残した経営者ほど引退時期が遅れるなど、引き際を誤るケースも少なくありません。星野さんはどう考えているのでしょうか。

星野佳路の家業のメソッド

 私が、ファミリービジネスの形態を維持していこうと考えているのは、星野リゾートには株式上場の必要がないと考えているからです。上場は、一般投資家から広く資金調達することが目的ですが、投資家から短期的な収益を優先するよう求められるデメリットもあります。

 一方、星野リゾートは不動産を所有しない施設運営会社ですから、大きな資金調達は必要ありません。また、短期的な収益ではなく、長期的、持続的な成長を目指していますから、ファミリービジネスの形態のままでいるという選択になります。

 とはいえ、会社の規模が大きくなったことによって、創業家が果たすべき役割は変わっていきます。

 私が1991年に会社を継いでしばらくは、自分でブライダルの予約獲得をしたり、日々の宿泊予約を把握したり、時にはスタッフ同士のもめ事の仲裁に入ったりといった、かなり細かい部分にまで関わっていました。

 こうした仕事は、会社が大きくなるのに伴い、会社組織のノウハウの中に埋め込むべきことであって、次世代の創業家出身者にこうした役割が求められるとは思いません。実際、運営施設の増加に応じ、各施設のことは支配人や担当者に任せて…

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星野佳路

星野リゾート代表

 1960年、長野県生まれ。慶応大経済学部卒業後、米コーネル大ホテル経営大学院修士課程修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)代表。温泉旅館だった家業を「世界で通用するホテル会社」にするとの目標のもと、所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、大きく変貌、成長させた。