身近なデータの読み方

個人金融資産 40年間で日本は5倍・米国は14倍のワケ

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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 日本の個人金融資産が増え続けている。2021年12月に日銀が発表した「資金循環統計(速報)」によると、21年9月末時点で1999.8兆円と、過去最高を更新した。21年度中に2000兆円に達する可能性が高い。個人金融資産はこの40年間増加傾向にあるが、米国に比べるとその伸びは緩やかだ。今回は、個人金融資産の動きを見ていこう。

40年間で5倍以上に増加

 まず、日本の個人金融資産の推移を振り返る。1980年度末に約372兆円だった資産額は、バブル期の90年度末に約1017兆円に膨らんだ。バブル崩壊以降の「失われた30年」の間も、00年度末に約1394兆円、10年度末に約1559兆円、20年度末に約1968兆円と増加を続けてきた。

 07~08年度の金融危機時など減少した年もあるが、基本的には増加傾向だ。80年度から20年度までの40年間で5倍以上に膨らんだ。

 近年は、株式や投資信託が値上がりしているが、両者が個人金融資産に占める割合は合わせて15%ほどで、資産額の増加への影響は限定的だ。全体の半分強を占める現預金が着実に積み上がっていることが、資産額増加の背景にある。

 個人金融資産の保有について、日本人は安全志向が極めて強いといわれる。バブル崩壊や金融危機を経ても、現預金を通じて安定した蓄積が続いており、これが金融資産が増加した要因とみられる。

金融資産に大きな格差

 では、どの年代が金融資産を多く保有しているのだろうか。総務省の「全国家計構造調査」をもとに推計してみると、19年時点で金融資産の半分を65歳以上が保有している。

 世帯主が65歳以上のシニア世帯は、平均して金融資産が1…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。