職場のトラブルどう防ぐ?

「人手が足りない」居酒屋経営者の年末の大決断

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A夫さん(42)は、席数20席ほどの居酒屋を3店舗経営しています。昨年は新型コロナウイルス禍で営業時間の制限などがあり、10月後半まで通常営業ができませんでした。11月以降は一転してフル稼働となりましたが、年末に店長の社員が体調を崩し、店舗運営が厳しくなりました。これをきっかけに、A夫さんは運営のありかたを見直すことにしました。

人員が足りないままフル稼働に

 A夫さんが経営する店舗は、本店がオフィス街にあり、他の2店舗は駅前繁華街にあります。本店はランチと夜の営業で、日曜日と祝日が定休日です。他の2店舗は夜のみの営業で定休日はありません。

 コロナ禍前、A夫さんは各店舗を社員2人とアルバイト勤務の2~4人で運営していました。ところが、コロナ禍で社員6人の雇用は守りましたが、アルバイトはシフトが大幅に減ったことで辞めてしまったり、仕事を掛け持ちしたりするようになりました。

 A夫さんは昨年9月末の緊急事態宣言の解除前から、辞めていたアルバイトに声を掛けたり、人材を募集したりしていました。しかし、コロナ禍前の人員がそろわないまま通常営業をすることになりました。

 12月は忙しさが増しました。年末が差し迫ったある日、ある店舗の店長になったばかりの社員、B也さん(25)が体調を崩し、出勤できなくなりました。その日はA夫さんが代役を務めてなんとか営業しました。

 B也さんは店長になったこともあり、他の社員やアルバイトを休ませるために自分がほとんど休めない状況になっていました。A夫さんも休みなしで連日、人手が足りない店舗に立っていましたが、それでもB也さんに休みを取ってもらうことができませんでした。

 A夫さんは20年ほど飲食業に携わり、がむしゃらに仕事をしてきましたが、今のような働き方を続けるのは無理だと感じました。店を持って7年ほどでやっと3店舗まで増やし、コロナ禍もなんとか乗り切っています。しかし1年以上、制限がある中で仕事をしてきたこともあり、毎日深夜まで働くと体がついていきません。年末年始のかき入れ時でしたが、店の運営の見直しを決断しました。

営業日と営業時間を見直し

 A夫さんは年明け以降、本店…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/