産業医の現場カルテ

足骨折した40代男性「ギプスに松葉づえ」通勤どうする?

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
  • 文字
  • 印刷
 
 

 野口さん(仮名、40代男性)は、あるメーカーのエンジニアです。1カ月半ほど前の休日に子供と外で遊んでいて転倒し、左足の向こうずねの骨を骨折しました。産業医である私は、野口さんから「治療中の働き方はどうすればいいか」と相談を受けました。

当面はテレワークで

 野口さんからの相談は、骨折から数日後のことでした。野口さんは左足をギプスで固定しており、移動のために松葉づえを使っていました。この数日は、大事をとって仕事を休んでいました。

 会社は、新型コロナウイルスの感染防止対策のため、週の3日が出社、2日は在宅勤務(テレワーク)の勤務体制を取っています。野口さんの自宅から会社まで、徒歩と電車で1時間ほどかかります。

 野口さんは松葉づえに慣れておらず、家の中の移動に苦労していました。電車に乗ることも不安でした。しかし「骨折していることを除けば体は問題ないので、当面はテレワークだけで仕事ができればと思っています」といいます。

通勤中のけがは労働災害

 野口さんは主治医から、1~2週間は左足を地面につけないよう指示を受けていました。また、完治してギプスと松葉づえが外れるまでには1カ月~1カ月半かかるだろうと言われていました。

 今の状況で多くの人が行き交う道を歩くのは難しく、転倒などすればさらにけがをするリスクがあります。通勤中であれば「労働災害」になります。

 働く上で「安全に出社できること」は、…

この記事は有料記事です。

残り829文字(全文1425文字)

佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。