熊野英生の「けいざい新発見」 フォロー

オミクロン拡大中の春闘「インフレ以上」の賃上げを

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
昨年の春闘で労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員=2021年3月17日(代表撮影)
昨年の春闘で労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員=2021年3月17日(代表撮影)

 米調査会社ユーラシア・グループは、2022年の最大のリスクとして「ゼロコロナ」を挙げた。中国が新型コロナ感染ゼロを目指して厳しい都市封鎖などを行っているが、その政策を失敗することが大きな損失をもたらすと指摘している。

 日本でも、新型コロナに対する政策は22年の最大のリスクだと考える。リスクは感染収束の失敗だけでなく、感染拡大を恐れるあまり、過剰なほど長く経済活動を制限し続けることによっても生じる。

 中国においては、2月に北京冬季五輪を控えていることが、過剰なまでのゼロコロナを目指す動機になっている。日本では、コロナの感染を強く警戒することで、過剰に経済を制限し、かつ雇用や金融面の支援を続けていると筆者は考える。まだオミクロン株による感染拡大が続いている中ではあるが、アフターコロナのことも考えるならば、発想の転換が必要だろう。

原油価格上昇が重しに

 海外の感染状況を見ると、オミクロン株が初めて広がった南アフリカは収束している。イギリスもピークアウトし、米国も峠を越えた可能性がある。日本より先にオミクロン株の感染が広がった国では収束に向かっている。

 感染収束による経済再開の予想は原油価…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。