ニッポン金融ウラの裏

「公開価格が安すぎる?」株式市場が抱える真の問題

浪川攻・金融ジャーナリスト
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東京証券取引所の建物=東京都中央区で2020年10月2日、宮武祐希撮影
東京証券取引所の建物=東京都中央区で2020年10月2日、宮武祐希撮影

 公正取引委員会は1月、新規株式公開(IPO)の問題点をまとめた報告書を発表した。新興企業の資金調達に関し、証券会社側が新規上場株の販売しやすさを優先して公開価格を不当に低く抑えることをけん制する内容だ。

 新規上場に関しては、市場で初めて取引される「初値」が、投資家に事前に売り出すときの「公開価格」を大きく上回る傾向がある。政府は昨年6月にまとめた成長戦略実行計画で、「公開価格が低いと、新興企業は十分な資金調達をできない」との指摘を盛り込んだ。これを踏まえ、公取委が新規上場企業や証券会社に事情を聴き報告書をまとめた。

「ブックビルディング」の問題点

 新規株式上場は現状、すべて「ブックビルディング」と呼ばれる価格設定方式で行われている。主幹事証券が事前に機関投資家に需要調査を行い、一定の割引をして公開価格を決めるやり方だ。

 報告書は、まず主幹事証券が大手証券に集中している問題をあげた。2020年に行われた新規株式上場の主幹事証券は野村証券、みずほ証券など大手5社で9割を占めた。また、ヒアリングを行う機関投資家の情報や、割引率をどう設定するか説明が不足していると答えた新規上場企業の声もと…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。