身近なデータの読み方

安い日本に「悪いインフレ」家計への影響は?

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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 2021年後半から、世界的にインフレが加速し始めた。原油などのエネルギー価格に端を発し、石油製品や金属などの材料品や、食料品に価格高騰の波が押し寄せている。米国は、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを金融の引き締めで抑え込もうとしている。日本は、日銀が金融緩和政策を継続する方針だが、はたしてどうなるのか。今回は、日本と各国のインフレの指標を見ていく。

企業物価が上昇

 まず、総務省が公表している消費者物価指数の上昇率を海外と比べてみよう。21年12月の上昇率(前年同月比)は日本が0.8%、米が7.0%、英が5.4%、ユーロ圏が5.0%(ドイツ5.3%、フランス2.8%)だった。日本は1%未満の低水準で推移しているが、欧米では昨年後半から急速に物価が高騰している。

 日本でも、企業間の売買で価格が高騰し始めている。日銀が公表した21年12月の国内企業物価指数の上昇率は8.5%で、輸入物価指数(円ベース)の上昇率は41.9%だった。輸入品の価格高騰が、国内の取引価格の上昇に影響していることがうかがえる。

身の回り品の価格にも影響

 企業間の売買価格を詳しく見てみよう。21年の年平均の上昇率(前年比)は、国内企業物価指数(4.8%増)、輸入物価指数(22.7%増)で、いずれも直近30年で最も高い水準だった。

 品目ごとに見てみると、輸入物価指数の品目では、石油・石炭・天然ガスが52.1%増、金属・同製品が46.7%増となった。国内企業物価指数では、原油などの価格上昇を受け、石油・石炭製品が27.8%増と高い伸びを示した。

 また、鉄鋼(12.6%増)や非鉄金属(29.4%増)といった金属価格の上昇も大きい。原材料である鉱物資源の世界的な需給逼迫の影響が出ている。ほかにも、輸入物価指数で飲食料品・食料用農水産物が18.5%増、化学製品が14.0%増となっている。

 22年に入ってから…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。