
会社員のA太さん(32)と妻でフリーランスのB代さん(34)は、子供が生まれたのを機に、生命保険のことで私のところへ相談に来ました。事前に保険ショップに行ったところ、貯蓄型の生命保険や掛け捨て型の医療保険などさまざまな商品を紹介されました。
保険選びの観点
A太さんは「保険に入ろうと思ったのは、自分がけがや病気で仕事ができないようなときへの備えのためです。貯蓄型は選択肢から外し、掛け捨て型の死亡と医療と就業不能の保険がいいのではないかと考えています」と話します。
私は、A太さんの保険選びの観点がよいと思いました。金利がほぼゼロの現在、貯蓄型保険の予定利率も低く、保険でお金をためるのは難しい状況です。
民間の生命保険などは、公的な社会保障制度で足りない部分を補うためのものと捉えることが大切です。ある程度の貯蓄があれば、それでまかなえるケースも少なくありません。
A太さんは社会保障制度については詳しくないといいます。私はまず、社会保障制度について説明することにしました。
健康保険の仕組み
まず、会社員が加入する健康保険です。A太さんも病院の窓口負担が3割であることは知っていましたが、これまで大きなけがや病気をしたことがなく「高額療養費制度」については知りませんでした。
高額療養費制度は、同じ月に医療費が高額になった場合に利用できます。たとえば、標準報酬月額28万円以上53万円未満では、医療費が月26万7000円までは3割負担で、それを超える額は1%の負担です。けがや病気の治療が長引き、直近12カ月間に高額療養費の支給を3カ月以上受けた場合(多数回該当)、4カ月目以降の負担の上限が月4万4400円になります。
健康保険組合の中には、…
この記事は有料記事です。
残り1042文字(全文1766文字)