経済プレミア・トピックス

「アーム売却断念」サプライズ会見で孫正義氏の弁明は

川口雅浩・経済プレミア編集長
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記者会見で子会社アームの売却断念を発表したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2022年2月8日、同社の公開映像から
記者会見で子会社アームの売却断念を発表したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2022年2月8日、同社の公開映像から

 「冬の嵐は終わっていない。ただ、必ず春は来る。新たな芽が芽吹き始めているのが実感だ。今日のメインテーマはアーム。アームの成長がいよいよ始まり、今から爆発的に伸びていく」

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は2月8日の決算記者会見で、子会社の英半導体開発大手アームを米半導体大手エヌビディアに売却する従来方針を断念し、2022年度中にアームの上場を目指すと発表した。

 これは通信会社から投資会社に大きく軸足を移したSBGにとって、ちゃぶ台返しに匹敵する大きな戦略変更だ。果たして孫氏は、サプライズ会見で何と説明したのか。

エヌビディアの筆頭株主となるはずが

 SBGは16年、アームを約3兆3000億円で買収し、完全子会社とした。当時、日本企業の海外企業の買収では過去最大規模だった。アームはスマートフォンの主要部品で高い世界シェアを占め、最先端の技術と多くの特許をもつ。SBGは株式を長期保有し、将来的に上場させる戦略だった。

 孫氏は20年6月の株主総会で「アームは我々の戦略的中核会社のひとつ」と位置付け、「世界中のスマホのほぼすべてにアームのチップが入っている。アームはすごい。大好きで、その思いはますます強くなっていく」と語っていた。

 しかし、同年8月の決算発表会見で、孫氏は「アームに興味があるという相手が現れた。株の一部または全部を売却することも選択肢の一つ」などと豹変(ひょうへん)。9月にアームの全株式をエヌビディアに売却すると発表した。

 売却で得た資金でSBGの財務改善を図りながら、売却資金の一部をエヌビディアの株式で受け取り、同社の筆頭株主になる戦略だった。

「猛反対は想定外」

 ところが…

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川口雅浩

経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。