経済プレミアインタビュー

「岸田さん『朗読家』を卒業なさい」首相の演説力を斬る

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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国際パフォーマンス研究所の佐藤綾子代表=東京都世田谷区で2022年1月27日、竹内紀臣撮影
国際パフォーマンス研究所の佐藤綾子代表=東京都世田谷区で2022年1月27日、竹内紀臣撮影

 新型コロナウイルス対応などをめぐり、連日、国会で野党の厳しい追及にさらされている岸田文雄首相。支持率は堅調だが、日本のリーダーとしてさらに一皮むけるには何が必要なのか。世界中の政治家の演説内容を研究してきたパフォーマンス学の第一人者、ハリウッド大学院大の佐藤綾子教授を訪ねると、キーワードは「脱・朗読」だという。パフォーマンスの観点から読み解いた日本のリーダーの欠点とは。【聞き手は経済部・赤間清広】

演説で重要なのは「アイコンタクト」

 ――岸田首相の国会質疑などを見ていると、失点を避ける「安全運転」ともいえる答弁が目立ちます。

 ◆象徴的な演説があるの。東京などに「まん延防止等重点措置」の適用を事実上決めた1月18日の記者会見。記者との質疑が始まると、「えー」「あー」という「言葉癖」が最初の5分だけでそれぞれ30回近く出てくる。なぜか。手元の紙を読んでいるからです。質問を受けると「えー」「あー」で時間を稼ぎ、その間に手元の原稿に目を落としている。18日の会見を映像で見ると、質問者とのアイコンタクトがあまりないのが分かります。あれでは演説ではなく、朗読よね。

 ――朗読ではダメ?

 ◆私の研究の結果、1分間当たり32秒以上、相手の目を見て話すと説得力が増す。論文にもしています。逆に言うと原稿やパンフレットをいかに一生懸命読み上げても、相手は説得力を感じない。朗読が多かった18日の会見は、国民と危機感を共有しなければならなかったリーダーの演説としては失敗です。

トランプ、メルケル…各国リーダーの実力は?

 ――どうすれば説得力を高めることができる…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。16年4月に中国総局(北京)特派員となり、20年秋に帰国。現在は霞が関を拠点に、面白い経済ニュースを発掘中。新著に「中国 異形のハイテク国家」(毎日新聞出版)