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ガソリン価格どう下げる?「トリガー条項復活」の是非

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
ガソリン価格が高騰している……(スタンドの給油機)=2022年1月26日、米田堅持撮影
ガソリン価格が高騰している……(スタンドの給油機)=2022年1月26日、米田堅持撮影

 政府は、景気への悪影響をくい止めるため、ガソリンや灯油の価格上昇を抑えようとしている。経済対策としては、ガソリン1リットル当たり5円を上限とした補助金を石油元売り会社に出し、卸値を引き下げることを通じて小売価格を抑えようとしている。

 しかしガソリンは、基準にした1リットル=170円に安定的には推移してしない。原油価格の上昇も止まらず、1リットル5円の幅の補助金893億円は底をつきそうだ。岸田文雄首相は追加対策を指示しているが、価格を安定させられるかは不透明だ。

「トリガー条項」は大震災で凍結

 補助金による価格引き下げではなく、1リットル当たり53.8円のガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)の一部を引き下げよという意見もある。

 2010年には、1リットル=160円を3カ月以上超えると、1リットル当たり25.1円分(特例規定の適用部分)を引き下げるという「トリガー条項」が導入された。しかし、11年の東日本大震災により、復興財源を必要としたためトリガー条項は凍結された。これを復活させ、仮に25.1円を引けば170円が144.9円になる計算だ。

 トリガー条項は旧民主党政権下で決まった。この…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。