海外特派員リポート

フェイスブックの成長鈍化「メタバース」は救世主?

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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フェイスブックからメタ・プラットフォームズへの社名変更を発表するマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)=2021年10月28日、メタのオンラインイベントから
フェイスブックからメタ・プラットフォームズへの社名変更を発表するマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)=2021年10月28日、メタのオンラインイベントから

 世界最大のネット交流サービス(SNS)、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が曲がり角にさしかかっている。2004年の創業以来、右肩上がりで成長してきた主力SNSの利用者の伸び悩みが鮮明となり、プライバシー保護強化の流れでオンライン広告収入の伸びが鈍化。メタ株価は暴落し、企業価値は21年9月のピーク時のほぼ半分に落ち込んでいる。

 米国の巨大IT企業「GAFA」の一角を占めるメタに何が起きているのか。メタが次の成長分野と位置づけるインターネット上の仮想空間「メタバース」事業に未来はあるのか。

フェイスブック利用者が初の減少

 メタの株価暴落は、2月2日に発表した21年10~12月期決算がきっかけだ。売上高は前年同期比20%増の336億ドル(約3.9兆円)と過去最高を更新したが、最終(当期)利益は8%減の102億ドルと10四半期ぶりの減益となった。

 その内容はメタの苦境を浮き彫りにするものだった。主力SNSであるフェイスブック(FB)は21年12月末時点の1日当たり利用者数が世界で19億2900万人となり、3カ月前から100万人減少した。利用者が四半期ベースで減少するのは12年の株式上場以来初めてだ。

 利用者が伸び悩んでいるのは、短編動画投稿アプリ「ティックトック」など競合サービスに若年層が流出しているためだ。メタは短編動画機能「リール」を強化することでティックトックに対抗しようとしているが、ティックトックの勢いに押されっぱなしだ。

 売上高全体の97%を占めるオンライン広告収入の伸びも鈍化している。米アップルが21年4月、スマートフォン「アイフォーン」での利用者データの取得制限を強化し、メタが得意とする利用者データをもとに広告対象を絞り込む「ターゲティング広告」の精度が低下したことが原因だ。アップルのプライバシー規制強化により、メタは22年に100億ドル(約1兆1500億円)規模の…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。