
日本企業には熱意を持って働いている従業員が5%しかいない――。こんな「やばい現実」を示す資料が政府の会議で示された。従業員のモチベーションは、企業にとって生産性や競争力を高める上で欠かせず、何よりも働く人々の喜びや幸せにつながっているはずなのに、世界でも最低水準にあるという。日本はなぜ「絶望工場」になってしまったのか。雇用制度から教育システムに至るまで問題の根は深い。
この会議は、2021年に経済産業省が設置した未来人材会議。「40歳定年制」を提唱した東京大の柳川範之教授を座長に、大手企業やスタートアップ企業のトップら計6人が委員を務める。教育行政や労働行政をつかさどる文部科学省と厚生労働省がオブザーバーとして参加している。
驚きの「未来人材会議」資料
ここまでは霞が関でよくある光景だが、記者が驚いたのは会議に示された資料だ。
資料は、米国の調査会社が21年、世界各国の企業で働く人たちを対象に実施したアンケート結果を引用したものだ。
「熱意を持って働いている」と回答したのは、世界平均で20%。米国・カナダがトップの34%、メキシコ以南のラテンアメリカと南アジアが24%、東南アジアが23%と続く。
日本が属する東アジアは14%と総じて低めだが、国別にみると、モンゴルの35%、中国17%に対し、日本はわずか5%。日本人が「控えめ」であることを差し引いても低いといわざるを得ない。
中国、韓国、インドなどアジア・オセアニアの14カ国・地域で実施した別の調査によると、「現在の勤務先で…
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