経済プレミア・トピックス

チェルノブイリだけでない「ウクライナの原発」影響は

川口雅浩・経済プレミア編集長
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ロシアのウクライナ侵攻を非難するデモは世界各国に広がっている=ノルウェー・オスロで2022年2月26日、横山三加子撮影
ロシアのウクライナ侵攻を非難するデモは世界各国に広がっている=ノルウェー・オスロで2022年2月26日、横山三加子撮影

 ウクライナ政府は2月24日、チェルノブイリ原子力発電所がロシア軍に占拠されたと発表した。チェルノブイリ原発は旧ソ連時代の1986年に史上最悪の原発事故を起こし、30キロ圏内などは今も立ち入り禁止区域になっている。

 その後、チェルノブイリ原発は大丈夫なのか。今回のロシアの侵攻で、ウクライナのその他の原発に影響はないのだろうか。

ウクライナの原発の情報途絶え

 ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムによると、既に運転を終了したチェルノブイリ原発を除き、ウクライナ国内には4原発15基があり、2月28日現在、9基が稼働している。

 同公社によると、15基ともロシア型加圧水型の原発で、ウクライナ国内の電力需要の約55%を供給している。秋から冬の期間は需要の7割に達するという。

 日本原子力研究開発機構によると、ロシア型加圧水型の原発は旧ソ連が開発し、東欧諸国で稼働している。事故を起こしたチェルノブイリ原発は中性子の減速材に黒鉛を用いており、原子炉のタイプが異なる。

 同公社は28日時点で「現在9基の原発が稼働中で、安定して発電している。放射線量などは基準の範囲内で安全性に問題はない」としている。残る6基は定期点検などで運転を停止しているようだ。

 稼働中の国内4カ所(南ウクライナ、フメルニツキー、リウネ、ザポリージャ)の各原発のホームページは28日現在、日本から接続しにくい状況となっている。

専門家が懸念を表明

 気になるのは、チェルノブイリはもちろん、各原発に対するロシアの攻撃だ。NPO法人「原子力資料情報室」は「チェルノブイリ原発での戦闘は問題だが、より深刻なのは稼働中の原発だ」と指摘する…

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川口雅浩

経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。