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東芝「ドタバタの社長交代」株主総会は乗り切れるのか

今沢真・経済プレミア編集部
東芝の社長を退任した綱川智氏(左)と後任の島田太郎氏(左から2人目)=東京都港区の東芝本社で2022年3月1日、写真はいずれも東芝提供
東芝の社長を退任した綱川智氏(左)と後任の島田太郎氏(左から2人目)=東京都港区の東芝本社で2022年3月1日、写真はいずれも東芝提供

 東芝は3月1日、綱川智社長(66)と畠沢守副社長(62)が同日で退任したと発表した。新社長には島田太郎執行役上席常務(55)が昇格し、副社長には東芝エレベータの柳瀬悟郎社長(56)が就いた。同日午前に開いた臨時取締役会で決定し、終了後に就任というドタバタのトップ人事だった。

 東芝は昨年11月、経営改革に向け会社を3分割する案を発表した。エネルギー・インフラ事業と半導体事業の2社をそれぞれ分離し、残る東芝本体は保有株式の管理会社にする方針だった。ところが一部の「物言う株主」が反対し、今年2月には2分割案に修正した。

 3月24日に株主の意向を確認する臨時株主総会を開くが、過半数の賛成を得られるかは定かでない。事前に綱川氏らの責任を明確にし、賛成するよう株主に訴えるのが狙い。ただ、総会の23日前に突然の社長交代という異例でドタバタの出来事で、総会での賛否は一段と不透明になっている。

物言う株主が強い不満

 この日午後、綱川氏、島田氏と、取締役会に社長人事案を提示した指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ社外取締役(52)らがオンラインで記者会見した。ゼイジ氏は大株主である米投資ファンド出身だ。

 ゼイジ氏は「不満を持つ大株主の一部から、現経営陣が株主還元をスピードをもって最大化できるのか懐疑…

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経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。同9月から編集部総括。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。