
A也さん(38)は、食品スーパーの店舗で人事・採用を担当しています。先日、シングルマザーのB子さん(39)がパートの採用面接に訪れました。平日フルタイムで働いているB子さんは「土日祝のみで1日8時間勤務」を希望しています。A也さんは採用すべきかどうか悩んでいます。
新型コロナで人員の確保に難
A也さんが勤務する店舗は定休日がありません。店長をはじめ社員は10人ほどです。その他はパートとアルバイトで、週2日以上、1日4時間以上の勤務を条件に採用しています。
現在、A也さんの店舗は、新型コロナウイルスの第6波の影響で子育て中のパートの欠勤が相次ぎ、人員の確保が難しくなっています。本部からは、出勤日の希望が少ない人でも積極的に採用するよう指示されています。
しかしA也さんは、勤務が少なすぎると仕事に慣れるまで時間がかかり、仕事を掛け持ちしている人も多くなるため、シフトのやりくりが難しくなると感じています。これまでも掛け持ちの仕事の都合で、急に欠勤してしまう人がいました。
採用すれば休みなし
そうした中、B子さんが面接に訪れました。B子さんは、平日午前7時~午後4時の8時間、給食センターで働き、1~2時間の残業もしていました。「一人で子育てをしていて、今後の教育費のことを考えると少しでも収入を増やしたいです」といいます。
B子さんの話し方は意欲的で、エネルギーに満ちあふれている印象でした。ただ、平日に立ち仕事でフルタイム勤務し、土日祝にスーパーで働けば、休む日がなくなります。A也さんが「体は大丈夫なのですか?」と聞くと、B子さんは「丈夫だけが取りえで、給食センターの仕事を休んだことはありません。立ち仕事も慣れています」と応じました。
店舗運営を考えれば、主婦パートが休みを希望する土日祝にフルタイム勤務をしたいというB子さんの存在はありがたいことです。しかし、A也さんは人事担当…
この記事は有料記事です。
残り1345文字(全文2141文字)
特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/