産業医の現場カルテ

初めて産業医と契約した会社「その後は何をする?」

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
  • 文字
  • 印刷
 
 

 ITベンチャー企業の社長、平井さん(仮名、30代男性)は、会社がまもなく従業員数50人を超えるため、産業医の選任が必要です。平井さんから相談を受けた私は、産業医を選ぶポイントを伝えました(前回参照)。

産業医を選任して労基署へ届け出を

 平井さんはその後、地元の医師会や産業医のエージェントを通して、私を含めて数人の産業医と面談し、私と契約を結ぶことになりました。

 平井さんの会社は4月に数人の新入社員が入社する予定で、従業員数が50人を超えるため、産業医を選任することが求められます。労働安全衛生法は、産業医を選任後、労働基準監督署に届け出るよう定めています。

 同社は今後の事業拡大に向け、オフィスの拡張計画が進んでいます。ここでも産業医からアドバイスを求めることができます。

 産業医の業務は、労働安全衛生規則に定められる「健康管理」や「作業環境管理」など、幅広くあります。会社は産業医がその業務を確実に遂行できるように情報提供や環境整備をしなければなりません。

産業医が関わる実務のチェックを

 産業医が関わる実務は、衛生管理者でもある同社の総務担当者と進めていくことになりました。

 具体的な実務は、衛生委員会(注)の開催や職場巡視、年1回の健康診断やストレスチェックなどがあります。まず私は総務担当者と、これらの実務ができているかどうかを確認していきました。

 同社は、健康診断やストレスチェックを行っていましたが、その結果をうまく生かし切れていませんでした。

 まず、従業員の中に、健康診断を受…

この記事は有料記事です。

残り838文字(全文1484文字)

佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。