熊野英生の「けいざい新発見」

経済制裁で「ロシア・デフォルト危機」欧州に飛び火も

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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ロシアがデフォルトを起こすと世界経済に大きな影響(プーチン大統領)=2022年3月4日、AP
ロシアがデフォルトを起こすと世界経済に大きな影響(プーチン大統領)=2022年3月4日、AP

 ロシアのウクライナに対する軍事行動を止めるため、主要7カ国(G7)をはじめとする世界各国は、一致団結して強力な経済制裁に踏み切った。

 しかしプーチン露大統領は、経済制裁が厳しいからといって簡単に妥協するような人物ではないと考えられる。では、経済制裁はさらにエスカレートし、ロシア経済が“焼け野原”になった後でなければ、ロシアが和平交渉に応じることはないのか。そうした状況は、西側諸国にとってもまったく好ましいこととは言えない。

外貨準備が使えない

 懸念されるのはロシアのデフォルト(債務不履行)である。ロシアは1998年に通貨危機に陥った。ヘッジファンドの米ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破綻したのは、このロシア危機によるものだったと言えば思い出す人も多いだろう。

 近年のロシアは、二度とデフォルトを起こさないよう、外貨準備高を6306億ドル(72兆5000億円、2021年末)まで積み上げている。しかし、各国はロシア中央銀行の資産凍結を決定しており、その結果、外貨準備のうちドル、ユーロ、ポンド、円の資産を支払いに充てることができなくなっている。

 ドル、ユーロ、ポンド、円…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。