近藤伸二のアジア新潮流

ウクライナ侵攻を「人ごと」とは思えない台湾の人々

近藤伸二・ジャーナリスト
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新年の談話で、中国の軍事的圧力の抑制を求めた蔡英文総統=台湾・台北市の総統府で2022年1月1日午前8時40分、岡村崇撮影
新年の談話で、中国の軍事的圧力の抑制を求めた蔡英文総統=台湾・台北市の総統府で2022年1月1日午前8時40分、岡村崇撮影

ウクライナ侵攻と台湾(1)

 ロシアのウクライナ侵攻を、中国と対峙(たいじ)する台湾の人々はどのように受けとめているか。元毎日新聞台北支局長で、台湾、中国の安全保障問題に詳しい近藤伸二・追手門学院大学教授(65)は「今日のウクライナは明日の台湾か?」との不安感が広がっていると説明する。近藤氏の見方を2回に分けて掲載する。【聞き手は経済プレミア編集部、今沢真】

 ――ロシアのウクライナ侵攻を、台湾ではどのように受けとめていますか。

 ◆近藤伸二さん 「覇権主義の大国が、武力で小国をのみ込む構図」として、台湾と中国との共通性が語られています。少し前は「今日の香港は明日の台湾だ」と言われていましたが、「今日のウクライナは明日の台湾か?」と言われるようになりました。

 なかでも最大の関心事は、「中国が武力侵攻してきたときに、米国は台湾を助けてくれるのか」という点です。昨年、アフガニスタンから米軍が撤退したときも、台湾では「米国に過度に頼るのは危険だ」という論調がありました。

米政権の代表団が「台湾支持」

 ――不安感が募っているんですね。

 ◆ただ、ウクライナ侵攻を受け、米バイデン政権は3月初めにマレン元統合参謀本部議長をトップとする代表団を台湾に派遣し、蔡英文総統をはじめ要人と会談しました。タイミングよく「台湾支持」が明確にされたとして、「米国は見捨てないんだ」という安心感も出ています。

 もともと米国では1979年に制定された「台湾関係法」で、大統領に台湾を防衛する軍事的選択肢を与えています。ただ、軍事介入の根拠法にはなるものの、義務ではありません。あいまいさを残しているのです。

 ――蔡政…

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近藤伸二

ジャーナリスト

 1956年神戸市生まれ。79年毎日新聞社入社。香港支局長、台北支局長、大阪経済部長、論説副委員長などを歴任。2014年追手門学院大学教授。22年3月に退職し、その後、ジャーナリストとして活動。著書に「彭明敏 蔣介石と闘った台湾人」「アジア実力派企業のカリスマ創業者」など。