近藤伸二のアジア新潮流

ウクライナ侵攻で中国政府の抱える「ジレンマ」とは

近藤伸二・ジャーナリスト
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全国人民代表大会(全人代)に出席した中国の習近平国家主席=北京で2022年3月5日、AP
全国人民代表大会(全人代)に出席した中国の習近平国家主席=北京で2022年3月5日、AP

ウクライナ侵攻と台湾(2)

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、似たような関係にある中国と台湾の動きに変化はあるのか。元毎日新聞台北支局長で、台湾、中国の安全保障に詳しい近藤伸二・追手門学院大学教授(65)は「中国は大きなジレンマを抱えている」と語った。そのジレンマとは? インタビュー「ウクライナ侵攻と台湾」の後編を掲載する。【聞き手は経済プレミア編集部、今沢真】

 ――ウクライナ侵攻で、中国はどんな立場ですか。

 ◆近藤伸二さん 中国はとても居心地が悪いと思います。中国とロシアは事実上の同盟関係にあります。でも、ウクライナも「親中」で、中国との関係は良好でした。

 中国の王毅外相は3月7日の記者会見で、「各国の主権と領土保全を尊重する」とウクライナに配慮する発言をしています。一方で、ロシアとの関係を維持するため、今回の件を「侵攻」とは認めていません。

ロシアとの関係を崩したくない

 ――ロシア非難の国連安保理決議で中国は「棄権」しましたね。

 ◆2月の北京冬季オリンピックのときに、プーチン露大統領と習近平・中国国家主席が会談し、反米で足並みをそろえました。中国は「AUKUS(オーカス)」という米英豪の反中国包囲網に対峙(たいじ)しています。ロシアも北大西洋条約機構(NATO)に対抗しており、同じ状況にあります。

 中国はその関係を崩したくないんです。ロシアを批判していますが、奥歯にものがはさまったような言い方です。ロシア非難の安保理決議で反対も賛成もしませんでした。

 ――王毅外相は会見で、台湾との関係についても言及しています。

 ◆「台湾は領土の一部であり、内政問題だ。外国が干渉すべきではない」が中国の公式見解で、王毅外相もそのように発言しています。台湾問題に外国が足を突っ込むことは許さ…

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近藤伸二

ジャーナリスト

 1956年神戸市生まれ。79年毎日新聞社入社。香港支局長、台北支局長、大阪経済部長、論説副委員長などを歴任。2014年追手門学院大学教授。22年3月に退職し、その後、ジャーナリストとして活動。著書に「彭明敏 蔣介石と闘った台湾人」「アジア実力派企業のカリスマ創業者」など。