産業医の現場カルテ

オフィスを「フリーアドレス化」産業医が示した注意点

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は、平井さん(仮名、30代男性)が社長を務めるITベンチャー企業と産業医契約を結び、同社の総務担当者と健康管理に関する実務を進めていくことになりました(前回参照)。同社は今後の事業拡大に向け、オフィスの拡張計画が進んでいます。従業員が働きやすい環境作りを目指して、オフィスのあり方を検討していくことになりました。

オフィスのあり方は?

 同社では、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、リモートワーク(在宅勤務)を積極的に進めています。一方で、従業員からは職場で定期的に対面でコミュニケーションする場がほしいという要望があります。また、従業員数が増える中、新人教育は職場でするのが望ましいといった声もあります。

 そこで、私と総務担当者は、オフィスをどのような形にするのがよいか考えていくことにしました。

 近年のオフィス設計のトレンドは、職場のインテリアの工夫▽省スペース化▽従業員が特定の机を持たないフリーアドレス化――といったものがあります。特にフリーアドレス化は、在宅勤務が広がったこともあり、導入する企業が少なくありません。

 総務担当者は「ここ2年は、出社する従業員の割合が50%以下になるよう調整しています。フリーアドレスを導入して作業スペースを削る分で、会議室や打ち合わせスペースを広く確保したい」といいます。

必要な機能を備えると……

 フリーアドレスでは、従業員が資料や私物を机に置いておくことができません。そのため、重要な書類や持ち出し禁止のパソコンなどを収納できる大き…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。