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ロシア制裁も影響?欧州で進む「グリーン水素」戦略

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ロンドン名物・2階建てバスも将来は水素燃料に Bloomberg
ロンドン名物・2階建てバスも将来は水素燃料に Bloomberg

 ウクライナ情勢の影響で不透明感が強まっている欧州だが、エネルギー領域で2030年を見通すならば、現在の脱炭素化の方針も受けて、確実に脱天然ガスの流れは進み、同時に欧州全域をカバーする水素網の構築が進むであろう。

 最近の水素に関わる世界の動きを俯瞰(ふかん)すると、30年に向かって欧州がグリーン水素(再生可能エネルギー由来電力で水電解し製造する水素=再エネ水素)で主導権を取りつつあることが見えてくる。

各国で供給確保策

 21年11月に英国で開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、ジョンソン英首相主催で世界リーダーズサミットが開催され、30年に向かって推進すべき四つのクリーン技術「ブレークスルーアジェンダ」が定められた。電力、道路輸送、鉄鋼、そして水素である(表1)。

 従来、水素の使途としては燃料電池自動車(FCV)が主たるターゲット市場であった。しかし、近年は船舶燃料、製鉄、水素・アンモニア発電と、脱炭素化が困難なあらゆる分野への適用が有力視されるようになった。これが世界が水素を必要としている理由であり、各国が水素の製造と供給確保に乗り出している。

 日本では、菅義偉政権が策定したグリーン成長戦略で30年の国内水素需要を300万トン、うち新規需要は100万トンと…

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