経済記者「一線リポート」

見えぬ理念 官僚に聞いた「新しい資本主義」って何?

後藤豪・デジタル報道センター記者
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「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を掲げる(左から)山際大志郎経済再生担当相と岸田文雄首相、木原誠二官房副長官=東京・永田町の内閣府で(代表撮影)
「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を掲げる(左から)山際大志郎経済再生担当相と岸田文雄首相、木原誠二官房副長官=東京・永田町の内閣府で(代表撮影)

 岸田文雄政権が発足して間もなく半年。いまだに見えてこないものがある。政権の看板政策である「新しい資本主義」だ。政府の政策立案を担う霞が関の官僚たちには、岸田氏が目指すビジョンが見えているのだろうか。何人かの官僚に直球の質問をぶつけてみた。「新しい資本主義」ってなんですか?

岸田政権の看板政策

 岸田首相が「新しい資本主義」を本格的に掲げたのは、2021年9月の自民党総裁選出馬の際だった。格差を広げたとされる新自由主義の修正や、中間層の拡大に向けた富の分配機能の強化を訴えた。10月の政権発足後も新しい資本主義は政権の看板政策となり、有識者らによる実現会議を発足させた。22年春にグランドデザインと、具体的な政策を盛り込んだ実行計画をまとめる予定だ。

 私は担当者として会議を取材し、会議の最年少メンバーで、クラウドファンディングサービスを提供する「READYFOR」の最高経営責任者、米良はるか氏にインタビューした。「新しい資本主義とは何か」という質問に返ってきたのは、「正直、現時点では『分からない』としか回答のしようがない」だった。その時はまだ会議が発足したばかりで、具体像が見えていなくてもしかたないと思った。

 しかし、会議が回を重ねても本質的な議論…

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後藤豪

デジタル報道センター記者

1981年生まれ。2005年毎日新聞社入社。青森支局、大阪社会部、東京社会部、東京経済部などを経て、22年4月からデジタル報道センター。著書に「ギリヤーク尼ヶ崎という生き方 91歳の大道芸人」(草思社)。Twitter @gototsuyo