職場のトラブルどう防ぐ?

取引先が無理難題「カスハラ」から部下を守るには?

井寄奈美・特定社会保険労務士
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営業担当は取引先とのやりとりで悩むことが多い
営業担当は取引先とのやりとりで悩むことが多い

 A子さん(48歳)は、アパレルメーカーの営業部長をしています。営業部に配属されて3年目に入るB恵さん(25歳)が最近ふさぎがちで、元気がないのが気になっています。

 B恵さんの直属の上司であるC太さん(36歳)に聞いてみたところ、「ひとり立ちをして1年。仕事に慣れて、良いことも悪いこともいろいろあるんだと思います。彼女はがんばってますよ!」とあまり気にする様子はありません。

 B恵さんは営業部に配属になったばかりのころ、A子さんのアシスタントをしていたことがあります。A子さんはその時と全く違うB恵さんの様子が気になり、昼食に誘い出しました。

顧客が無理難題

 昼食の場で、B恵さんに「最近、どうですか?」と聞いてみたところ、「自分の担当先を持つことができてやりがいがあります」「C太さんや先輩もサポートしてくれます」と言います。

 A子さんは「B恵さんの活躍は見てますよ。1年目で売り上げ目標が達成できているのはすごいですね。でも何か無理をしているのではないですか?」と聞いてみました。

 するとB恵さんは、一瞬下を向いて考えたあと、A子さんの目をまっすぐ見て「実は、退職した先輩社員から引き継いだ取引先のお客様から無理難題を言われて困っているんです」と打ち明けました。

 具体的には、その取引先は商品の発注はしてくれるが、そのあとの変更や、納期に対する無理が多く、先方の希望を通さないと、発注済みのものをキャンセルしてきたり、納品して間もない商品を返品してきたりするなど、報復と思われる行動をとるそうです。

 また先方が急いでいる商品の納期が少しでも遅れると、「値引きしてもらう。機会ロスの分はあなたにかぶってもらう」などと言ってきて…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/