
ウクライナに侵攻したロシアに対して西側諸国が行った経済制裁は効果をあげているのでしょうか。元毎日新聞モスクワ支局長で、8年にわたりロシアで特派員として取材した大木俊治・記事審査委員は、「間違いなく効果は出ている。ロシア国民の生活は苦しくなっている」と見ます。
――ロシアに対する経済制裁の効果は?
◆効果は間違いなく出ています。食料品や日用品、医薬品はロシアでは輸入品が多いです。侵攻後のルーブル暴落や、外資系企業の事業縮小で価格が急騰し、買い占めもあって品不足が始まっています。
――どんな制裁が一番効果をあげると思いますか。
◆国際銀行間通信協会(SWIFT=スイフト)からロシアの大手7銀行を排除した効果は大きいです。外国からの輸入品の代金を決済しにくくなり、品物が入りにくくなります。どこまで国産品で代替できるかですが、限界はあると思います。
ドル決済停止も効果
――SWIFT排除は石油や天然ガスの輸出代金など、エネルギー関連の外国との決済を扱うロシアの最大手銀行を除外するなど、抜け道もあると言われています。
◆ただ、除外した銀行に対しても米国や日本の銀行がドル決済や送金といった業務の停止を決めています。そうした措置はロシアへの強い圧力になっています。
プーチン大統領は、エネルギーを輸出した際の代金についてロシアの通貨ルーブル払いでという“奇策”を発表しました。そうした対応が契約上どこまで通用するかわかりませんし、主要7カ国(G7)はすぐに拒否する方針で一致しています。
底深いヤミ経済
――制裁で、ロシアの市民生活は相当苦しくなるとみられますが。
◆確実に苦しくなるでしょうね。特に若い世代が耐えられるかどうか。若い世代は困ったら外国に逃げるなんていうことを考えるかもしれま…
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今沢真
経済プレミア編集長
1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。