
「ミスター検討中」──。岸田文雄首相を指して、政界で最近、こんな呼び方が定着しつつある。国会で何を質問されても「検討している」「あらゆる選択肢を排除しない」の一点張りで、自らの考えを明確にしようとしない岸田首相を皮肉る呼び名である。
昨秋の首相就任から、もう5カ月余。今年1月に始まった通常国会は無風に近く、政府の新年度予算案も異例のスピードで衆院を通過して、早々と成立する運びとなった。しかも、衆院の採決で国民民主党も予算案に賛成するなど、野党の方から政権にすり寄ってくる。政治状況を見れば「岸田1強」とさえ言っていい。
にもかかわらず、自民党内でも「首相が何をしたいのか分からない」から、果ては「実は何も考えていないのではないか」まで酷評が渦巻き、「決断が早かっただけ菅義偉前首相の方がましだった」との声まで与野党から出始めている。これは相当深刻である。
世論も敏感だ。『毎日新聞』の全国世論調…
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