経済プレミアインタビュー

「侵攻はまったくの想定外」元特派員の“ざんげの弁”

今沢真・経済プレミア編集長
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ロシアのプーチン大統領=2022年3月31日、AP
ロシアのプーチン大統領=2022年3月31日、AP

 ロシアのウクライナ侵攻に、多くの専門家は「想定外だった」と振り返ります。元毎日新聞モスクワ支局長で、2度の特派員勤務でロシアを見てきた大木俊治・記事審査委員も「軍事侵攻はあり得ない」と考えていました。なぜ専門家は軒並み“間違えた”のでしょうか。大木さんに「ざんげの弁」を聞きます。

プーチン氏を「買いかぶりすぎた」

 ――ロシアの侵攻は予想していましたか。

 ◆まったくの予想外でした。むしろ「そんなことはあり得ない」と思っていました。軍事侵攻開始の少し前に、私の古巣の毎日新聞外信部から侵攻の可能性を聞かれた際にも、そう確信を持って答えました。

 今回の経済プレミアのインタビューにも、「今さらどのつら下げてモノ言うか」という恥ずかしい思いをしながら話しています。

 ――なぜ「まさかの侵攻」だったのでしょう。

 ◆ひと言で言えば、「プーチン大統領を買いかぶりすぎていた」ということかもしれません。もともとロシアはいろんな意味で疑いをもって見られていた国です。でも、長年、ロシアを見てきた者にしてみれば、力のある国だし、関係を大事にしていく環境が必要だと思っていました。だから……、肩入れをしていたのかもしれません。

「思惑どおりだった」はずが…

 ――「買いかぶりすぎていた」とは具体的には?

 ◆ソ連崩壊後のロシアは経済力がガタ落ちです。米国に次ぐ経済力をつけた中国とは大きく違います。でも、いちおう米国に盾突いて、「俺たちは大国なんだ」と言い、演じ、ある意味うまく立ち回ってきたのがプーチン氏です。米国もそういうロシアを無視することはできませんでした。

 ロシアがウクライナ国境に大軍を集結させているとバイデン政権が警告を発したのはちょうど1年ほど前です。でも、米国が騒ぐのを利用して「米国と対等にやっているロシア」を世界や国民に見せ、自分のステータスを上げていたと思うのです。

 実際、昨年6月にはバイ…

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今沢真

経済プレミア編集長

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。