
日本にとって本当に不幸なのは、コロナ禍から抜け出す前に、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことだ。コロナ禍では、サービス消費が停滞し、飲食店、レジャー、交通産業などが採算を悪化させた。3月21日にようやくまん延防止等重点措置が全国で終了し、失われた消費を取り戻そうとするところだった。
しかし、2月24日にウクライナ侵攻が始まり、事態は暗転した。原油価格(WTI=米国産標準油種)は2021年平均で1バレル=66.8ドルだったが、22年3月平均は同108.3ドルに上昇した。原油以外でも、非鉄や小麦などの国際商品市況が上がっている。
日本の購買力の“海外流出”が長期化すると、景気も変調をきたすことになるだろう。経常収支は21年12月と22年1月に2カ月連続で赤字に転落した。このデータはウクライナ侵攻前のもので、2月以降も経常赤字が恒常化するリスクがある。経常赤字になると日本の潤沢な対外純資産も減少し、これは日本にとって危険なシグナルだ。
スタグフレーションの危険性
日銀が金融政策決定会合後に行っている黒田東彦総裁の記者会見で、最近、記者から「スタグフレーションになる危険性はないのか」と…
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