経済プレミア・トピックス

「フランス大統領選」意外に苦戦の現職マクロン氏

渡邊啓貴・帝京大学法学部教授
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現職のマクロン仏大統領=AP
現職のマクロン仏大統領=AP

 現職大統領のマクロン候補(44)の楽勝かと思われていたフランス大統領選挙の雲行きが怪しくなってきた。ロシアによるウクライナ侵攻のさなかに行われている今回の大統領選だが、フランスの国政で何が起きているのか。

上位2人の決選投票へ

 フランス大統領選は4月10日に第1回投票が行われ、過半数を得る候補がいない場合は、24日に上位2人の間で決選投票が行われる。

 今のところ、第1回投票では決まらず、マクロン候補と極右のルペン候補(53)が決選投票に進む可能性が高い。最新の世論調査ではマクロン氏が優勢だが、ルペン氏が決選投票で46%を獲得するという予想も出ている。5年前の決選投票では34%しか取れず、大敗したルペン氏が勢力を挽回していることは確かだ。

 最大の要因はフランス政治の「右傾化」だ。現在立候補している12人の候補者のうち最も右翼的な思想の持ち主は、反リベラリズム、反移民、人種排外的な政策の急先鋒(せんぽう)の評論家・ゼムール候補(63)だが、昨年11月ごろは、各種世論調査の支持率でマクロン候補に次いで2位だった。

 ただ、ゼムール氏の政治家としての力量は未知数で、昨年12月初めには、サルコ…

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渡邊啓貴

帝京大学法学部教授

1954年生まれ。東京外国語大学卒業、パリ第一大学大学院博士課程修了。99年東京外国語大学助教授、99年同教授。シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、『外交』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使などを歴任。2019年から現職。著書に「ミッテラン時代のフランス」「フランス現代史」「ポスト帝国」「米欧同盟の協調と対立」「ヨーロッパ国際関係史」「シャルル・ドゴール」「現代フランス」「アメリカとヨーロッパ」など多数。