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子の高校卒業で「消える遺族基礎年金」家族の生計は?

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA介さん(44)は、パートで働く妻B子さん(39)、14歳と12歳の息子2人の4人家族です。万一、A介さんが死亡した場合、家族は公的年金保険の遺族年金を受け取れますが、そのうち遺族基礎年金は子が18歳になる年度末までに限られます。A介さんは民間生命保険にも加入しており「生命保険の保険金額を増やすべきか」と相談に訪れました。

「18歳になる年度末まで」が対象

 遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は、子のある配偶者または子が受給できます。子は「18歳になる年度末まで」が対象で、つまり「高校卒業まで」を想定しています。また、20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子も含まれます。会社員などで厚生年金に加入している場合は、遺族厚生年金が併せて受給できます。

 仮に、A介さんが死亡した場合、B子さんは、遺族基礎年金77万7800円(数字はすべて2022年度の年額)に子の加算額22万3800円を2人分加算し、併せて122万5400円を受給します。遺族厚生年金の額は年金加入期間によって変わり、A介さんの場合51万4255円です。合計額は173万9655円になります。

 しかし、現在14歳の長男が18歳の年度末を過ぎると、遺族基礎年金の子の加算は1人分になり、合計額は151万5855円に減ります。さらに次男が18歳の年度末を過ぎると遺族基礎年金は受給できなくなります。

妻をサポートする「中高齢寡婦加算」

 ただし、遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」という制度があり、夫を亡くした40歳以上の妻で、子がないか、末子が18歳の年度末を過ぎたときから、加算され…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。