職場のトラブルどう防ぐ?

年金事務所が突然調査「社員の社会保険」会社の対応は?

井寄奈美・特定社会保険労務士
  • 文字
  • 印刷
 
 

 A介さん(42)は、従業員数120人ほどの婦人雑貨小売業を営む会社の人事課長をしています。先日、管轄の年金事務所から、同社の従業員の社会保険(厚生年金と健康保険)への加入状況等の調査を行いたいとの連絡がきました。A介さんは2年前に人事課に配属になり、これまで調査対応の経験がありません。準備する書類等は、連絡の通知に記載されていましたが、何を調べられるのか、不安に感じています。

短時間労働者へ社会保険適用を拡大

 2022年10月1日から社会保険の加入対象となる短時間労働者の範囲が拡大します。現在、従業員数が500人以下の会社については、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数がフルタイム勤務の従業員(正社員等)の4分の3以上となる短時間労働者が社会保険の加入対象となっています。

 しかし、10月1日以降は、従業員数100人超500人以下の会社についても、従業員数500人以上の会社と同様に、(1)週20時間以上の勤務(2)月額賃金8万8000円以上(3)2カ月超(現在は1年以上)の雇用見込み(4)学生でない――の四つの要件をすべて満たす短時間労働者については、社会保険の加入義務が課されることになります。

 改正内容の周知をひとつの目的としているのか、改正の対象となる従業員数100人超500人以下の会社を中心に、年金事務所が被保険者調査を積極的に実施しているようです。

年金事務所の調査とは

 では、年金事務所の調査とはどのようなものなのか、具体的に見ていきましょう。年金事務所の調査は、社会保険に加入している事業所(法人および従業員を5人以上使用している個人事業)に対して行われるものです。おおよそ…

この記事は有料記事です。

残り1403文字(全文2108文字)

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/