
みずほ証券・上野泰也氏に聞く(2)
「円の評価が下がったから円売りになったわけではない」。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也さんは、ロシアのウクライナ侵攻をはさみ、3月上旬から急速に進む円安・ドル高についてこう語る。どういうことなのか。
――円相場は約20年ぶりに一時1ドル=126円台を付けるなど、1カ月余りで10円程度の急激な円安・ドル高となりました。要因は何でしょうか。
◆金融政策のベクトルを見た時、米連邦準備制度理事会(FRB)はウクライナ情勢を受け、どんどん利上げの方向に動いています。日銀は緩和続行ですから、日米の金利差からドル高の方向へ動くのは違和感がありません。市場は素直に日米の金融政策の方向感の違いを感じ、一気に円安が進んだのだと思います。
かつては「有事の円買い」
――かつては「有事の円買い」と言われ、リーマン・ショックや東日本大震災の際に円高が進みましたが、今回は円買いが起きていません。円の評価が下がったのでしょうか。
◆今回はいろんな要因があります。ウクライナ侵攻前から資源高は続いており、日本は2021年12月、22年1月と単月で経常赤字となりました。日銀の金融緩和継続もあり、市場には円買いを妨げる要因ばかりが並んでいます。
2月の経常収支は黒字でした。これからも単月で赤字はあるかもしれませんが、赤字基調になったというのは間違いで、黒字基調に戻るはずです。今が転換点かといえば…
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