熊野英生の「けいざい新発見」

ロシア侵攻の「エネルギー危機」弱さ際立つ日本経済

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)=首相官邸で2022年4月5日、竹内幹撮影
原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)=首相官邸で2022年4月5日、竹内幹撮影

 ロシアによるウクライナ侵攻にからみ、もしロシアが原油、天然ガス、石炭の供給を止めると、需給バランスはどのくらい崩れるのかを調べてみた。西側各国による制裁が続けば、ロシアは欧州などへのエネルギー輸出を停止させることになるかもしれないからだ。

ロシアはエネルギー純輸出国

 IEA(国際エネルギー機関)による1次エネルギーの純輸出・純輸入のデータ(2018年)をみると、世界一の純輸出国はロシアだ。同年は石油換算で7億トンの輸出で、これは世界の輸出量の約2割を占める。つまり、ロシアを貿易取引から完全に締め出すと、エネルギー輸出の約2割が減少するインパクトになる。

 反対に、世界一のエネルギー純輸入国は中国である。日本は中国に次いで2位、インドが3位、韓国が4位である。ドイツ、フランス、イタリア、イギリスの4カ国を合計すると、中国に次ぐ2位の規模になる。なお、米国は12位の純輸入国だ。つまり、エネルギーの高騰が経済により大きな打撃を与えるのは、中国を除けば西欧と日本ということになる。米国の打撃は小さい。

 中国とインドが、ロシアのエネルギーを買い続ければ、対ロシア制裁の抜け穴になりそうだ。しかも、…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。