メディア万華鏡

「立ちはだかるオッサン」永田町で女性記者は見た

山田道子・元サンデー毎日編集長
  • 文字
  • 印刷
参院予算委員会で2022年度予算案が賛成多数で可決し、一礼する岸田文雄首相(中央)と閣僚=国会内で2022年3月22日午後0時29分、竹内幹撮影
参院予算委員会で2022年度予算案が賛成多数で可決し、一礼する岸田文雄首相(中央)と閣僚=国会内で2022年3月22日午後0時29分、竹内幹撮影

 全国紙で初めての女性政治部長を務めた毎日新聞の佐藤千矢子さん(現在は論説委員)が4月、「オッサンの壁」(講談社現代新書)を出版した。日本一のオッサン社会である永田町と、それを取材するオッサン主体のメディアの中での体験を克明に記録した。

 「男性優位に設計された社会に安住し、少数派に思いが至らない人たち」。佐藤さんは「オッサン」をこう規定する。「少数派」とは、生きづらさや矛盾や悔しさを感じている人たちのことだ。だから、男性でもオッサンではない人はいるし、女性にもオッサンに従い上昇しようとするオッサンがいることは周知の通りだ。

「女の戦い」からかう先輩記者

 私(山田)は1990年4月、海部俊樹内閣時代に社会部から政治部に異動。同じ時に長野支局から異動してきたのが佐藤さんだった。何かというと「佐藤・山田の女の戦い」とからかう先輩男性がいた。

 同著では、海部首相の東南アジア諸国連合(ASEAN)訪問の同行取材に関する話が紹介されている。女性記者が5人同行することに対し、首席秘書官が「首相外遊に女性記者を同行させるとは海部をバカにしているのか」と各社政治部長に抗議した。そんなバカがまかり通る時代。

 私も「男同士が膝付き合わせて政治家の話を聞いている時に、女がいると雰囲気が壊れる」と外されたことがある。一方で、こわもての政治家を囲む飲み会には「華を添えて」と声がかかった。同著はこうした「あるある」にあふれている。佐藤さんの体験は、自分の話のような感覚に陥った。

週刊誌編集長と比べると

 私が週刊誌「サンデー毎日」の編集長になったのは2008年秋のことだ。総合週刊誌で女性編集長は初だった。

 佐藤さんは17年に政治部長になった。その背景を「部数が落ち込んで多様な意見を聞かなければ、競争に生…

この記事は有料記事です。

残り684文字(全文1430文字)

山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。