
電力小売りの全面自由化から6年。新電力が次々に誕生し、家庭でも多彩なプランを選べるようになった。だが、ここに来て、新電力の撤退や倒産が相次ぎ、競争の結果、電力需給の逼迫(ひっぱく)が予想されるなど、自由化のほころびも目立つ。
電気料金は安くなったのか?
電力小売りは2000年から段階的に自由化が進み、16年4月に家庭や小規模店舗などの低圧分野に広がり、全面自由化された。かつては大手電力がコストに利益を上乗せした総括原価方式で料金を設定し、地域で独占供給してきたが、利用者は電力会社や料金プランを自由に選べるようになった。
700超の新電力が生まれ、通信や給油などとセットにしたり、再生可能エネルギー由来の電気の供給をうたったりするなど、多様なメニューが登場した。販売電力量に占める新電力のシェアは21年12月で22%、低圧分野では24%を占める。
自由化で、家庭の利用者が最も期待したのは、電気料金が安くなることだ。調査会社インテージリサーチが21年2~3月に行った調査によると、料金プランを変更した人の理由は「安いプランが出た」が20%で最多だ。
だが、自由化後の電気料金は上がった。資源エネルギー庁によると、電気料金平均単価は14~16年度は下がったが、その後上昇傾向にある。20年度は家庭向けで10年度比14%上昇した。
要因は二つある。ひとつは燃料の高騰だ。発電電力量の4割を占める液化天然ガス(LNG)の輸入価格は16年から上昇傾向にあり、20年のコロナ禍で一時急落したが、再び急騰している。
もうひとつは、再エネ普及のためのコスト増だ。12年から再エネで発電した電気を電力会社が一…
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