
日本の通貨・円は歴史的な安値水準にある。以前は円高恐怖症に苦しんでいた日本企業も、行き過ぎた円安を問題視するようになってきた。
岸田文雄政権は4月末、物価上昇への対策を打ち出し、対策には新型コロナの時と同様に給付金が入った。どうやら物価上昇を止めるための対策ではなく、物価上昇の「痛み」を我慢する人々への対策のように見える。多くの人は、政治に頼ることなく自分で円安対策を考えなくてはならない。
米国の金利上昇を生かす
為替変動には、円高であれ円安であれ、それぞれメリットとデメリットがある。円高の時は円高メリット、円安の時は円安メリットを追求するのが合理的だ。
個人で投資する場合、円安の時は外貨運用でメリットを追求できる。これまでと環境が違ってきたのは、ドルの短期金利がプラスになってきた点だ。3月に米国はゼロ金利政策を2年ぶりに解除し、政策金利を0.25%利上げした。5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でもさらに大きく利上げされる見通しだ。
もちろんドル投資には為替リスクがあり、円安の時に投資し、後に円高になると為替差損が生じる。しかし金利が上がってくると、仮に為替差損が出ても金利収入…
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熊野英生
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。
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