経済プレミア・トピックス

会社存続の危機でも「ロシア専門旅行社」が目指すこと

川口雅浩・経済プレミア編集部
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ロシア民芸品のマトリョーシカ=東京都新宿区のJIC旅行センターで2022年4月、川口雅浩撮影
ロシア民芸品のマトリョーシカ=東京都新宿区のJIC旅行センターで2022年4月、川口雅浩撮影

ロシア専門旅行社とウクライナ侵攻(2)

 「こんな時だからこそ、私たちの存在意義があると思っています」。ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア専門の旅行会社「ジェーアイシー(JIC)旅行センター」(本社・東京、杉浦信也社長)は大打撃を受けている。会社存続の危機に立たされながらも、杉浦社長がこう語るのはなぜか。

 2020年春から続く新型コロナウイルスの感染拡大で、日本からロシアへの留学生や一般旅行者らが激減し、20年度と21年度の売上高は19年度の1割以下に激減した。そこにウクライナ侵攻が加わった。

 コロナ禍の前までは、ロシアから日本を訪れるロシア人の旅行者も多かった。特に花見の季節は盛況だったが、当面は期待できそうにない。長く暗いトンネルが続く。

「なんとか踏みとどまりたい」

 JIC旅行センターの社員は東京、大阪、モスクワを合わせて18人。杉浦社長は「コロナの雇用調整助成金もいずれ打ち切られる可能性があります。社員には関連する会社への出向を紹介しているほか、『もしも新しい就職先が見つかるなら、ぜひ探してみてください』と呼び掛けています」と、苦しい胸の内を明かす。既に自身は無報酬で「ボランティア状態」で働いているという。

 ロシアへの旅行者や留学生は激減したが、業務で現地を訪れるビジネスマンや、ロシア語やバレエを習うため留学を志す若者ら、旅行社として今も一定の需要はある。

 このため「経営は苦しいが、ロシア大使館へのビザ発給申請など最低限の業務は維持したいと思います。なんとかして…

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川口雅浩

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。