
A介さん(29)は従業員30人ほどの動画コンテンツ制作会社を経営しています。学生時代に起業し、創業7年目になります。創業時からのメンバーが家庭を持つ年代になってきたことと、自分自身も仕事だけではなく、プライベートの時間を充実させ、新たなビジネスへのヒントを得たいという気持ちもあります。そこで週休3日制を導入することを検討しています。
同社の現在の勤務体系は、平日9時半~18時半の勤務(1日8時間)で、土日祝日は休みです。今後は週40時間勤務を維持したまま、平日の火・水・木・金のいずれかを交代制で休みとし、勤務時間は9~20時(1日10時間)とすることを考えています。
ところが、この考えを幹部社員に話すと、「1日10時間勤務は労基法違反になるのでは?」と言われて困惑しています。
法定労働時間の確認を
従業員の労働時間数および休日、休憩時間は会社ごとに決めることができますが、労働基準法により最低基準が定められています。労働基準法は罰則付きの法律です。
まず労働時間については、週40時間以内と定められており、1日については8時間以内とされています。そのため、A介さんが考えているような1日10時間勤務という契約は原則としてできません。
休日については週1日以上、休憩時間は1日の労働時間数が6時間を超える場合は、勤務時間の途中に45分以上、8時間を超える場合は60分以上と定められています。
では、A介さんが考えるように、週所定労働時間は40時間のままで、休日を増やすことはできないのでしょうか。
労働基準法には、変形労働時間制という制度があります。前述した「週40時間以内、1日8時間以内」の働き方は原則です。「1カ月を平均し…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/